魔法ノ花Ⅱ【完】

★1年Aクラスの2学期 /夜行性セーラ





今日の夜はいつもと違った。



いつも行く学校近くの公園は、毎回静止していて厳かな風景画みたいになってるけど。




今日は違った。



薄く形を見せてくれる三日月が、公園に光を授けて。


そして光を授けられた公園は、静止した風景画ではなかった。




きぃ、こ。


きぃ、こ。





規則正しく控え目な、金属と金属が擦れる音。




それは控えめで、今にも消えてしまいそうだった。


きぃ。


寂しい音だと思った。


消えてしまいそうで、その音だけが虚しく響く。


他の音は何も無いのに。


静寂と、音。




このふたつだけの旋律が奏でるのは、寂しい歌。悲しい歌かもしれない。




「…………」




が。


あたしもこの公園にすっぽかすにはいかない用があるわけで。




ぐっ、とこらえて、足をゆっくり踏み出した。



足は軽くなかった。




0
  • しおりをはさむ
  • 1338
  • 4428
/ 466ページ
このページを編集する