魔法ノ花Ⅴ【完】

★3年Aクラスの1学期 /宵闇







眼前に広がる、美しい景色。


遠くを見やれば、木々の緑と、空の青と、雲の白しか見当たらない。




見晴らしのいい景色だ。



アイツとともに来ていたら騒いでうるさかっただろう。




『………』





おかしいな。


悪魔だから、感情など、持っていないはずなのに。


そうでなかったとしても。



俺はあの人のモノだから、たとえ感情があったとしても……、




どうして。



どうしてだろうか。




近頃の俺はおかしい。



何故、俺はこんなにも、得体のしれないものに左右されるものに成り下がったのだろう。





『……はは』




試しに笑ってみる。


それでもきっと俺の顔は笑ってなどいない。



いつもの無表情だ。変われるわけがない。





それなのに。









目の前に、希望の糸を垂らされたからか。








……何をバカなことを。




何が希望の糸だ。




期待しても無理なものは無理だ。



……勝てはしない。




いくら、あの男たちであろうと、勝てはしない。



あの人には、誰にも勝てはしない。




それが”摂理”だ。


不変の事実だからだ。





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