魔法ノ花Ⅴ【完】

★3年Aクラスの1学期 /煙雨と却月















「――――どこへ行くんですか、セーラ先輩」


「………」




背後から、そんな声が聞こえた。


その声に、一応足を止めてあげる。




「あなたの行く場所は分かってますよ」


「……へぇ、そう」




セーラ先輩、ね。あたしのことそう呼ぶのはおまえだけだよ。



あたしのこと先輩、とかね。あたしのこと、まず先輩と認めてくれる人の方が少なさそうだ。




あたしが、ルイたちを先輩だと思ってないのと一緒。






「行ったら危ないんじゃないですか?私、セーラ先輩を止めたいんです」





足は、止めてあげた。



だけど、振り返ったりしない。




振り返る必要がないからね。



だって、彼女が一体どんな表情をしているかなんて、すぐにわかる。




もちろん、彼女が誰で、何者かなんて、なおさら。






――――はぁ。



どこへ行こうとしてたか分かってた、か。



じゃあ、止めなくても大丈夫だったよ。



だってあたしの向かう場所、危険じゃないから。



ちゃんとジョナさんの授業に出ようとしてたわけじゃないから。ほら、危険なところには行かないよ。


……あたしにとっては、ジョナさんの授業のほうがよほど危険だからね。





うん、そうだそうだ。




――――あんたとやり合うなんて、ジョナさんの授業受けるより確実に楽だよ、ウェンティちゃん。





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