魔法ノ花Ⅴ【完】

★3年Aクラスの1学期 /風月





* * *




「……久しぶりだね、風華」


「……来ると思っていたわ」


「………」




風華は顔を動かさずに、目だけあたしの方にむけた。


長い髪が、肩から零れ落ちる。




……『目だけ、動かす』




それは、ただ顔を動かすのが面倒だったからではないだろう。


いや、それもちょっとあるかもしれないけど。




────向けられないからだ。




向ける力が、ないからだ。





「……私が駆け付ける前に、随分な有様じゃないか」


「残念だわ。あなたを殺したかったのに」




異臭が部屋を支配する。


鉄の匂い。




血の匂いだ。




その量からして……すべて、風華のものだとは、言わないけれど。






────部屋を入ってきたとき、さすがのあたしもこの光景には息を呑んださ。



さすがのあたしも、この光景には驚く。




驚くって。




なんだろうこれ。ドッキリかな?





────風華がすでに、屈服させられた状態で、あたしを待ってたんだから。



さすがにあたしも、驚いた。




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