魔法ノ花Ⅴ【完】

★3年Aクラスの2学期 /木の葉時雨と名残月









「ルナ」


「、」





……ああ。どうして、今、こんなことを思い出したのだろう。




「ごめん。何かぼーっとしてた」


「また疲れが溜まってるんじゃないの?」




形のいい眉を思いっきりひそめた雛。



「心配しなくても大丈夫だよ」



最近は本当に、何もないから。


何もないの。




やっぱり星羅がもう、最終段階に入ったからかな。





……それに。



「星羅はもう、忘れちゃったかな」


「何?やっぱり星羅がらみ?」


「あ、違うの」




ここは誤魔化しておかないとまた雛たちの中で星羅の株が下がる。


私が取り繕っても、星羅が雛たちの神経を逆なでするようなことばかり言うのが悪いのは分かってるんだけど。





……星羅。




あなたは覚えてる?あのときのことを。



それとも、覚えているのは私だけなのだろうか。




あの夜のことを。


漆黒の夜。空には月も星もなかった。誰も私たちを見ていなかった。



あの記憶に存在するのは、私と星羅だけ、なのに。




……きっと星羅は、忘れて。




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