魔法ノ花Ⅴ【完】

★3年Aクラスの2学期 /旱天の慈雨と陽炎稲妻水の月




Side.M






――――体育祭は、瑠菜さんのエキシビジョンマッチの終了をもって終焉を迎えた。




「水樹!!何でこんなとこで寝てるの!!」




千早が、ジャン……じゃなくて中庭の木陰で眠っていた水樹の耳元で叫んでたたき起こす。




「んん……うっせえなぁ」



くあ~、とのんきにあくびする始末。




「ちょっ……」




さすがに千早も呆れた様子だ。


水樹が騎馬戦以来姿を見せないと思って私と千早で探しに来たら、まさかこんなところにいるとは。



「水樹!!蛍さんとひと悶着あったんじゃないの!?何でこんなにのんきに寝てるの!!」


「ヒトキンチャク?人はイソギンチャクにはならねえぞ。つか、イソギンチャクって何だ?急いでるヌンチャクか?」


「………」




ああ、いつもの水樹だ。


いつもの水樹すぎて逆に何か悲しくなってしまうのは私だけかな。




「……蛍さんとやりあって、蛍さんに勝てたんだね」


「………」




その言葉に、水樹は顔をしかめた。




「……勝ってねえよ」




と。


水樹は悔しそうにつぶやく。




「えー?でも、水樹最後に残ってたじゃん。蛍さんいなかったし」


「あれは俺の力で勝ったんじゃねえ」


「………」


「俺ひとりじゃどうにもならなかったよ」


「……へえ」




でも、その割に。


悔しそうな顔をしてる割に。




「けっこう晴れやかな顔してるじゃない」


「……さあな。そう見えるならそうなんだろうよ」


「否定しないのね」


「……俺自身の力じゃないものも全部、俺の手に入れた力だって分かったからな」


「……ん?どういう意味?」




千早がきく。




「バカには分かんねえよ」


「ちょ!バカじゃないよ!千早はバカじゃない!水樹の方がバカのくせに!」


「何だと!」


「……どっちもどっちね」


「心配すんなよ」




と。


水樹は揺らがずに言う。





「いつかアイツに1対1で勝てるくらい、強くなってみせるからな」




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