魔法ノ花Ⅴ【完】

★3年Aクラスの2学期 /月の障り



















『――――天野瑠依についてか』


「ああ」




その後、夜の公園。


風に吹かれながら、ラクティスと向き合う。



……今日は秋のいい風が吹く。



いい風に吹かれながら、月を見上げる。



この季節の月は明るい。きれいだ。




いい風に吹かれながら月を見上げ、月を見上げながらラクティスに話しかける。



「ルイについて調べろ」


『……曖昧だ。何を目的としている』


「あたしの正体に気付いてるかどうか」


『………』



ラクティスは表情なんてない。


ラクティスの気持ちの揺れ動き方なんか分からない。


でも、なんとなく思ってることは見える。



「ま、一番知りたいのはそれだけど、あたしの正体に気付いているかいないかを知っているのもまたルイだけだ。それはラクティスにだって調べられない」




……なぜ、ルイはエキシビジョンマッチで戦ったのは自分だと嘘をついたのか。



それはあたしの正体に気が付いた故なのか。



それならば、あたしの何に気が付いたのか。



すべて知ったか。一部か。一部ならどれか。




……それを知るのはルイだけだ。


外からどう調べようと、行動から一部くらいは分かっても、ルイの心のうちすべてを理解することはできない。



『そんなに知りたいのならば心を読めばいい』


「……やっぱりおまえはバカだな」




月は静かに輝く。



何も語りかけてはこない。


干渉しない。それが癒しとなるときもあれば、煩わしくなるときもある。





人間は違う。


語り掛けたら、何かが返ってくる。いや、たまには月と同じように、何も返ってこない時もある。



それが、癒しか、はたまた。




ただ、それは、やっぱり月とは違うもの。





「……心を読んでまでうまくやっていく意味なんてないね」




何のためにここにいるのか。みんなのすべてを知って安心して生きるためではない。



知られたくない気持ちもある。


だから、全部を知る必要なんて、ない。




それでも知ろうとする。



矛盾する行動、それがあたしの人間としての性だ。




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