魔法ノ花Ⅷ

むらさきいろ /デンファレ〔suspicion〕



* * *




Side.M





「トウリョウって何だそりゃ?大工か?」


「それは親方の方の棟梁ね」




たった今出会ったエレノアさんは、私たちを連れて静かな飲食店に入った。




「統領っていうのは、おそらくこの国の最高責任者ってことよ」


「最高責任者??」


「……まあ、わかりやすく言えば王様ってことね」


「……はあ!?こんなガキが!?」




ちょっ、本人を目の前に失礼な……!




「はい。でも正確にはこの国に王はもういません。私は、悪政をはたらく王を倒した時に、民を指導していただけです。若くて都合のいいガキなので担ぎ上げられたんですよ」


「な、なるほど」




エレノアさんは気分を悪くした様子はない。


どの世界にも、ただのお飾りの統治者はいる。彼女はそれにされたのね。




「王を倒したって言った……?」




と、千早。その表情は少し暗い。


……そうか。この人が王を倒したのなら、セーラちゃんの手先ってことに――――




「はい。その王も、国が倒れた直後にあの方に殺されてしまって、もういないのですが」


「……、…」




あの方、とエレノアさんが言ったのが誰なのか分かってしまった。


その上で、この子がどうやらセーラちゃんの協力者ではないということも分かった。




「あの方を追いかけて来られたのでしょう?」




そう言って、エレノアさんが微笑む。




「……うん、そうだよ。あたしたち、セーラちゃんを助けに来たの」


「……なるほど。死神を救済しに来た変わり者なのですね」




エレノアさんが笑う。


でも……不思議なことに、死神と言いながら嫌悪の感情は見られない。




この世界の人は、セーラちゃんのことを死神として見ている。


死神なのだから、それ相応の恐怖と嫌悪を感じているのだと思っていたのだけれど……




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