魔法ノ花Ⅷ

むらさきいろ /ナデシコ〔boldness〕




* * *




Side.M






俺たちはまた移動して、やっと、ジャスタナの中心地まで来た。





――――のは、いいんだけどもー。





「何かにぎやかな市場だねー」


「おい雅也!あれうまそうや!」


「おまえは絶対どこでも生きていける人種だなー」


「……騎士が目立つな」


「どうやらここ、ジャスタナの首都みたいね。胸に王都お抱えの騎士のエンブレムがついてる」




と、どうやら首都だったらしい。




「いつの間にやらそんな場所まで来てたのー?」


「気付くのおっそ!」


「仕方ないでしょう。私もこの街は来たことがないわ」




ということは、進んでいる道が思ったのと少しずれていたらしい。


本当は首都を避けて行くつもりだったのにねー。




「……ついにここまで来たわね」


「………」


「ひとつ聞きたかったことがあるの」





彼女の声は、市場の喧騒の中で、静かに消えた。


でも小さな声のそれは、不思議にも俺たちの耳にしっかりと届いた。





「あなたたちこそ、あの人にたどり着いたら、どうするつもりなの?」


「………」




どうするつもり、か。


それは大まかすぎる質問で、何を聞いてるのかがよく分からない。





「たどり着いたらとりあえず連れ戻すって感じやな」


「そうじゃないわ。連れ戻した後よ」


「………」




彼女の瞳は、少し暗い。



「あの人の部下を仮に全員倒したとして、その後どうするの?あなたたちの話を聞いていると、楽観的すぎる。その後の展望がない」


「………」


「あなたたちは、きっと楽しかったのでしょうね」


「………」


「あの人と、楽しい時間を過ごしてきたのでしょうね」


「………」


「でも、楽しい時間は終わるものよ。楽しい時間が終わったら、楽しくないことを考えなくちゃいけないんじゃないの?その中であなたたちは、何を求めているの?」




……この子の方からそういった質問をされるのは、初めてだったかもしれない。



この子の方から踏み込んでくることは、今までなかった。




コートクラウンが近づいて、何か心境に変化でもあったのか。





「……答えが今すぐほしいか?」


「え?」



と。ルイが答える。





「すぐにほしくないのなら、ちょっと待っててもらっていいか?」




……んー?



何かルイの様子がおかしい、と思ったら、ルイの視線の先には何か小競り合いが行われていた。





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