魔法ノ花Ⅷ

むらさきいろ /ムスカリ〔despair〕



* * *





Side.M





「……着いたわ」


「……本当にここであってる?」


「あってるわ」




アリスは、地図も見ずにそう言った。


ここが……この岩場に囲まれたこの場所が、俺たちの集合場所らしい。




「気配、何も感じないけど」


「魔法は使わねーって約束どうしたんだよ」


「私は呪いを受けている。だから私の居場所は魔法を使おうが使わまいが知れているわ。みかるも使ったら?」


「………」




言われてみればそうじゃん。


つーかそれならそうと早く言ってくんねーかな?



気付かなかった俺も俺だけどさ。



少し集中して、気配を探る。





……確かに誰もいねーな。


俺たちが一番か。




「途中でここまでたどり着くのが不可能になっていたらどうするの?」


「緊急事態が起きたら仕方ねーから魔法で連絡する流れになってたんだ。だから何も連絡なしにここまで来ねーことはあり得ないだろ」


「……連絡を取れない状況だったら?」


「たぶん大丈夫だ。うっすらだけど、どこかにアイツらの気配を感じる」


「……そう」


「アリスは探んなよ」




今アリスが言った通り、ロアンと繋がってるアリスが探ったら、もしかしたら向こうに逆探知されないとも限らない。




「でも、まだ時間がかかるならこんな場所で何日待つつもり?」


「近くに町とか……」


「この辺りには町はないわ」


「そうか、なら……」




ならどうしよう、と。


少し考え始めてから、その思考を止める。




待て待て。今のおかしくねーか。






「……何でアリス、そんなこと知ってんの?」





そんなこと、地図には書いてなかった。


いやむしろ、地図にはちゃんと地名が載ってた。






「……向こうに使われてない教会がある」





と。


アリスは俺の言葉を聞かなかったかのように、そう言った。



でも俺の言葉が聞こえなかったわけじゃない。



だってほかに何も音がしなかったし、……それに、目をそらした。





「石造りだから、そう簡単には壊れてないと思う。きっと雨風くらいなら防げるわ」







そうしてアリスが案内してくれた先には確かに、手入れのされてなさそうな古びた建物があった。




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