魔法ノ花Ⅷ

あかいろ /タチアオイ〔ambition〕




『おまえはここで一体何をしている』


「………」



頭の中にロアンの声がした。


久しぶりにロアンの声を聞いた気がする。




『それはおまえが私を絶っていたからだ』


「心の中を読まれるのも久しぶりですね。感動の再会を祝してガリガリ君で乾杯します?」


『あまり良い景色ではないな』


「感動の再会もガリガリ君も無視ですかい」



景色なんて言われても。


この世界の見慣れた景色が広がっているだけだ。




高度文明のない街が遠くに見える。それでも大して背の高い建物はない。



それが遠くに見えるこのあたりは、ほぼ未開発の土地。人の手が届いていない森林である。



……人の手が届いていない、には語弊があるかもしれない。





だってこの場所は、もとは小さな町があった場所だから。



それも戦争で滅んでしまったけれど。





――――だから、こんなぼろぼろの教会も残っている。



死神を祀るための教会だ。





「色んな音が聞こえる」



色んな場所から聞こえてくる。


人が消え、町自体も消え、もう何もなくなったこの場所が、今日この日にだけ久々に騒々しさを取り戻した。




騒々しすぎる。



あっち側もこっち側も、派手なやつばっかりだ。



いつの間にこんな奴らが集まったんだか。




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