魔法ノ花Ⅷ

あかいろ /ヘリクリサム〔veracious〕





Side.A




私には、欠けた記憶がある。


あまり自分の過去について意識しないから、それに気が付いたのはかなり最近だった。




私には姉がいた。


自分にそっくりの姉がいた。



でもいなくなった。


どうやっていなくなったのかは思い出せなかった。



いつの間にか、私はひとりぼっちで生きていた。



仲間もいなくなった。


たくさんいたはずなのに。



どうしていなくなったのか思い出せない。








思い出せないことに意識を向け始めた、あの日。




私の生活の場となっていた石畳の無駄に広い無機質な部屋で、その声が私の頭に響いた。










『過去が知りたいか?』




頭の中の声がそう囁いた。






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