魔法ノ花Ⅷ

あかいろ /オダマキ〔anxious and trembling〕




あれからチーフはほどなくして死んだらしい。



風の噂で聞いた。嘘ではないだろう。


まあ、酒の飲みすぎだろう。好きなもの飲みまくって死んだんだから、チーフもいい死に方だったんじゃなかろうか。






――――今まで操られたことがなかったから分からなかった。


『ラージャ』と名前を呼ばれたこの状態でも、思考って存在するんだな。




俺の剣がアマノを攻める。


さっきよりもしんどそうだ。それはそうだ。俺は大将の下の副将で、戦場では一度も負けたことねえんだし。



不思議な感覚だ。


自分の動きに、自分の意思がある気がする。




剣筋が俺の型のままだっていうのも、不思議な感じだな。


身体が勝手に動く。



身体と共に、思考が勝手に動いている。



攻撃する意思が自分にあり、次の手を自分で考えている。





……なるほどな。


俺の思考を操り、あくまでも俺の思考回路で命令を聞くっていう仕組みなのか。




『ラージャ』。その名前を付けたのはセーラだ。


そしてその名を呼ばれたのは、今が初めてだ。だからこんな感じになることを俺は知らなかった。




「ッ!」




アマノに思いきり剣をぶつける。


粗い剣筋だ。俺の剣は全てチーフに教わったことと経験から培われたセンス任せ。



洗練された型なんてものは存在しねえ。ロディスと違ってな。


アマノは防戦に徹する。




いい技量を持っていながらも、俺の剣には為す術がないようだった。




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