魔法ノ花Ⅷ






「……ルイと湊を引き合わせたのは、俺だった」



そうだ。あの2人が出会うように裏で手を回したのは零だった。


あれは信頼していた兄に裏切られて沈みそうになっていた湊を救うために、同じような家族を持つお兄ちゃんとの仲を使ったんだと思ったんだけど……




違う理由があるの?




「湊とルイを引き合わせたのは星羅だ」


「……え?」


「正確に言うと、『ロアンを絶った』星羅だ」


「、」





ロアンを絶った星羅。


それは私と零の中で通じる、星羅の状態を示す言葉だ。




星羅の思考はロアンに侵食されていて、何を考えているか、何を感じているかはロアンには筒抜けになるようになっている。分力と分身の契約がそういう内容を含んでいるからだ。



だけど星羅は、自分の思考の中に、ロアンが侵食できない領域を作り出した。



そんなことが本当に可能なのかって疑ったこともあったけれど、実際星羅はそれをやっていた。




その領域に、ロアンが気が付いているかどうかは知らない。でも星羅はロアンに記憶を消されると言っていた。ロアンは気付いていたのかもしれない。



……侵食できない領域の記憶を、ロアンがどうやって消していたのかはよく分からないけれど。






そして星羅は、そのロアンが侵食できない領域を表に出してくることがあった。


ロアンに知られたくないことを私たちに伝えるときだ。


ロアンに侵食されている領域は眠っている状態にして、侵食されていない部分で活動する。




一体どうやったらそんなことが可能なのか分からない。


どんな精神力があれば、そんな人間離れしたことができるのか、と思ってしまう。



思考は元々分かれているものじゃない。二重人格を意図的に、意識的に作り出しているようなもの、と言ったらいいのだろうか。



しかも常にロアンの侵食を妨げている集中力は並大抵じゃない。




……話がそれた。




『ロアンを絶った』星羅というのは、ロアンの侵食した領域を眠らせ、ロアンの侵食されていない領域のみを覚醒した状態の星羅のことだ。



ロアンに侵食させたくない領域なんて、ロアンを出し抜くためのかなり重要なことが詰まっているに決まっている。




それで、それは……どういうことなの?




湊とルイを引き合せるように言ったのは、星羅……?



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