君は笑っている。
天真爛漫。
あの頃では考えられなかった。
あの頃は二人で酒を飲むこともなくて
君は病気があって何もできなくて
ずっと後ろめたく感じてるように見えて
君はダイエットに成功したようで
化粧もしていて、
服装を見てもセンスを感じる。
あの頃と比べなくても
僕の好みに当て嵌る女に成長してる
あの頃とは違う。
感じが変わった、いい意味で。
終電で帰さないといけない。
指輪もしている。
帰りを待つ人が居るのだろう。
もう一回会えたらいう心算だった。
今なら、が頭をぐるぐるしている。
ぎこちない気がする。
もうちょっと、
もうちょっとだけ一緒に居たい。
ああ、ぼくは、ただの、ばかなんだ。
居酒屋を出て。
駅に進行方向を変えた
君の手を
捕まえて
抱きしめるなんてできなかった
笑って、できるだけ笑って
伝えられない好きだった、を
ほっぺたの内側で、昇華させるだけで。
おわり。