魔法ノ花Ⅷ

きいろ /タンポポ〔oracle〕





「追わねえのかよ!何もしねえのかよ!」



水樹が傷を押さえて言う。


俺も思った。これはダメ元でも止めるために攻撃した方がいいのかってね。




でもこの状況を最も把握していた人物は、何もしなかったから俺も何もしなかった。


おそらく、ルイや湊もそうだ。






そしてこの状況を最も把握していたその人が、水樹のその問いに答えた。



「一度逃がすように言われていましたので」



王様は続ける。



「あの方がこれから何をするかも私はセーラ様に聞かされています」




そう言って、王様は水樹の方へ近づく。




「本当に……何とお詫びを申し上げていいのか」




その顔には、もう気味の悪い笑顔はない。



……演技派だねー、このお兄ちゃんも。



すっかり騙されちゃったじゃないの。あんたとセーラの策に。




「皆様の世界ではどのようにお詫びをするのでしょう」


「んーとね、膝を地面につけて手を地面につけて頭を地面にこすりつけてー土下座って言うんだけどー」


「雅也今はその性癖抑えろ」



へーへー分かりましたよ。




「アルト様」



サーシャが前に出る。



「私共にも、聞く権利があります」


「その通りです。ですが先に……」



王様は水樹の傷に触れた。


傷はだんだん小さくなっていく。




「……おまえ、王様のくせに何でそんなに魔法使えんの……」


「勿論私自身に並外れた能力があるわけではありません。私には運良く力を与えられただけで、運良くセーラ様の教えをいただけただけです」


「やっぱりそうだったんだな。おまえの剣の型がおかしいと思ったんだ。おまえはセーラに教えてもらってないはずなのに、セーラの型にちょっと似てたし、それに相手をよく知ってないと分かるはずない弱点もついてたし」



……マジか。そーゆーことかよ。


水樹が王様に感じてた違和感はそこだったんかい。




いやでも気付くか?水樹が最初に違和感覚えた時、まだ構えただけだったけどねー?




「あれ見て、セーラに教えてもらったんじゃねえかって思って。敵のはずなのに、意味分かんなくなって……もしかしたら、セーラと王様には何か裏があるんじゃねえかって」


「さすがセーラ様の選ばれた方たちですね」



王様は笑った。


たぶん同じ笑みなのに、今までと印象は全く違う。




「私は何度もセーラ様に教えを頂いていましたし、何度も念入りに計画を立ててきました」


「………」


「何から話せばよいでしょうか……」




やっとだよ。



やっと、真実を知れる時が来た。




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