魔法ノ花Ⅷ





―――――帰り道は、行きと同じだった。



帰りはセラフィアから瑠菜に合図を送ると二人が道を作ってくれる手はずになっていた。



俺たちがセラフィアにいたのはだいたい1か月。



つまり俺たちがセラフィアにいる間にこっちの世界では3年弱が経過してたってわけで……



「もう留年ってレベルじゃねえな」


「いやそういう問題か」



竜崎零がルイに軽快にツッコむ。



こっちに戻ってきてすぐにこの状況だ。


行きはタクラに襲われたあのあの道を戻ってくると、瑠菜と竜崎零が待ち構えていた。


一休みもできずこの状況。



マンションの屋上で、突っ立ったまま、カミサマ2人が腕を組んでいる。まだ休みは遠そうだ。



「どうして教えてくれなかったの、瑠依」




瑠依、と呼ぶ。お兄ちゃん、じゃなくて。


瑠菜がそう言う時は、瑠菜が神様としてルイに尋ねているときだ。



「………」



でも、ルイは嫌そうな顔をしない。


珍しかった。ルイが神様の瑠菜に嫌そうな態度をとらないのは……



「……チョッパチョップスは」


「は?」


「チョッパチョップス不足で何も考えられない」


「………」


「………」




……たぶんあれだ。


セラフィアで緊張の糸を張りつめすぎて、こっちに帰ってきた瞬間に弛んだやつだ。



俺たちのところでいうと、シリアス飽きちゃったやつだ、コレ。




「口許がさびしいなら分けてやろうか」




竜崎零がタバコを差し出す。




「……いらねえ。禁煙しろハゲ」


「あーあ、喫煙仲間がどんどん減ってくな~」


「……私は聞いてるの、瑠依」



瑠菜には冗談が通じなかったみたいだ。




「セーラが言わなかったから。それだけ」


「………」


「セーラがおまえらに言わなかったのも、何か理由があるのかと思ってたからな」


「……星羅が言わなかったのは、星羅自身も忘れていたからだよ」


「本当にそう思うか、瑠菜」


「………」




瑠菜の方が瑠依に押されてる。



何だか、帰ってきて早々変な図だけど――――




「まあまあ、みなさんは慣れないセラフィアで疲れたのだと思いますから。セラフィアでの顛末は私がお話ししましょう」



明るい声で言ったのは、なぜか成長した姿のアイリーン。




「……アイリーン……」


「ね?あなたも落ち着いて」



アイリーンがルナに触れる。


ルナからしてみれば、アイリーンのこの態度の変化の成り行きも知らないわけで。




「だから、あなたたちは一度休んで。休息をしないと視野の広い思考はできないの」


「………」





……こっちでは、3年弱が経過した。





戻ってきた。俺たちの居場所に。


でもそこに、俺たちは、セーラを連れて帰ってこられなかった。




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