魔法ノ花Ⅷ

さくらいろ /ヤエザクラ〔spiritual beauty〕



Side.T




一方そのころ俺はというと。




「もぉ、調子いいんだから~」

「今日うちの部屋来れるでしょ?」


「オメーら、彼氏いるんじゃなかったの~?」


「だって、私のことなんかちっとも構ってくれないし。タクラに乗り換える!」


「かわいそうに。俺だったらこんなかわいい女の子、絶対大切にするよ」


「タクラ……!」


「ずるーい!私の方が先に話してたのに!」


「そんなに取り合わなくても、今夜は全員優しく……」




おっと。


甘えてくる子の中に、めちゃくちゃ俺を睨むかわいい子がひとり。




「ああごめん、うちのネコが倉庫に閉じ込められて出てこられねーって連絡がきたわ~。てことで今日は帰るね」


「えっ」



拍子抜けした女の子たちを置いて立つ。


お嬢さんはこんなに見目もよくて口もうまい俺を睨みつけるんだから、さぞ男の理想の高いらしい。



「なぁに、そんな怖い顔で睨んじゃって~。あ、もしかして嫉妬ぉ?今夜空いてますよ~?」


「……何やってんのよ」


「あらあら女の子がそう怖い顔しないの、ハルちゃん」



物陰から腕を組んで俺を睨んでいたのは、ハル。そう簡単には間違えない。


俺に用があったんだろう。ちょうどめんどくさいところで来ちまったね。



そして、俺を置いてすたすたと歩いていくお嬢ちゃん。



何も言わねーのかよ。ついてこいってか?やっぱ嫉妬だな。



「ま、ハルちゃんに何やってんのって言われれば、こっちの文化を視察中ってとこ?」


「……何を視察してるの」


「そりゃこっちの女の子のタイプの調査と俺の口説き文句がこっちでも通じるかどうかをだねぇ」


「………」



ああ、ハルの雰囲気が怖くなった。冗談が通じねーなあ。こーいうとこかわいいよなあ。




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