魔法ノ花Ⅷ

しろいろ(Last battle) /ノコギリソウ〔war〕



Side.R



「いい景色でしょ?」



そう言うと、彼女の動きは止まった。



ここに来た時点で、私の結界には気が付いたはずだ。

この結界があれば彼女でもここ一帯を吹き飛ばすことは不可能だ。




それを分かって、彼女はここに来た。



「あなたと直接話すのは、意外と初めてなのかもしれないね」



生い茂る木の上から、地面に降りる。

今日はここには動物はいない。カバもヘビもアリも。



今から戦場になるこの場所から、動物だけは遠ざけた。動物のカミサマは、快く自分の領地に移してくれた。


周りの校舎にも生徒はいない。教師もいない。



これから起こることに、巻き込むわけにはいかない。




「……そうだな、光の子」



彼女は笑う。この人は私のことを、光の子と呼ぶのか。


初めて話すから、知らなかった。




「俺は何度か喋ったことあったかな」


「次世代が出来損ないではおちおち眠ってもいられないのだ」



後ろの木には、彼女の後継がもたれている。



「ここにあるって信じたんですか?オマエをおびき寄せる罠だとは思わなかったんですか?」


「罠だとして、そこで私を歓迎してくれるのは変わりないだろう」




零の先代は笑う。




「私のために手を尽くし用意した罠なら、無視するわけにはいかない」




星羅の顔で笑う亡霊は、もう気が付いていることだろう。


気配をうまく消していようと、この女がその気配に気が付かないはずない。




校舎に、木に、時計塔に。呼び集めた精鋭たちが集っている。




「その身体は返してもらう、ロアン」




私の先代が殺し損ねた亡霊は、さらに口角を釣り上げた。


星羅は決してそんな風に笑わない。



「身体を返したところで、あたしは生き返らないよ?」



星羅みたいに言うのが、腹立たしかった。


でも、感情的になるわけにはいかない。



ここでロアンを殺せなければ、今と同じ景色はこの世界から消える。



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