魔法ノ花Ⅷ

しろいろ(Last battle) /エーデルワイス〔daring〕





「やっと闇の神も戦い始めたぞ」



校舎の影から見ていた水樹が言う。




「何か話してたみたいだな。何も聞こえなかったけど」


「……少し聞こえてきたけど、アイツもなかなか精神的にきてたみたいね」



雛ちゃんが言う。


あたしにも少し聞こえた。いやけっこう聞こえてきた。



……あたしのことバカバカ言って何だよ、竜崎。


おまえもバカだよ、十分。そんな意味のない会話に時間を使って。



と、思いながら2人の会話は聞き流した。ラクティスと竜崎の口喧嘩なんて不毛すぎる。



それに、ラクティス。久しぶりに見た。



らっくんは何を思ってるだろう。


あたしはラクティスを恨んでない。だから、誰もラクティスを責めないでほしい。




「……星羅って、バカよね」



と。雛ちゃんが唐突に言い出した。


なんだと!あたしはバカじゃない!そしてこのタイミングで言うことか!?って言いたくなったけども、そっちの方がこのタイミングで言うことじゃないので飲み込んだ。

あたし偉い。




「……セーラちゃんは、バカじゃないです」



代わりに千早が言い返してくれた。いいぞいいぞそうだそうだもっと言い返せ。



「バカよ。悪役に回る必要なんてないのに、いつも悪役になって」


「……それは……」


「真実を隠してた星羅を恨んでた私たちが、まるで道化だわ」


「………」



バカって、そういうことか。


雛ちゃんは、あたしの立ち回りが許せなかったらしい。



そして、その立ち回りの裏を考えなかった自分自身も、許せないらしい。


そんなことはないのに。


あたしがそう仕向けたんだから。



あんたたちは、何も知らずに恨む方が、楽だから。



道化なんて言葉を使わなくてもいいのに。




「星羅を責めるべきではないのにね。知ろうとしなかった私たちが一番タチが悪いのに。思慮にかけて、実力も星羅に遠く及ばない。こんなだから、星羅は私たちが信用できなかったのね」


「………」



そんなことないのに。


巻き込みたくなかった。無駄な悩みを作らせたくなかった。



だってあんたたちは、ルナの大事な補佐だ。カミサマだ。


カミサマは忙しい。無駄なことを考えてる時間なんてない。



あたしもルナに与えられて月のカミサマにはなったけど、その責任は全部アイリーンに押し付けた。


あたしはカミサマの仕事はしなかったから、そのぶん別のことに頭を使えただけだ。



あたしと一緒に苦しむ人は、少なくていい。


……そう、思ってたんだけどな。





「もしセーラちゃんに会えたら、雛菊さんはどうするんですか?」




千早が聞いた。




「殴るわよ。そして殴ってもらうわ」




男らしいな。さすが雛。


でも、そうか。



傷つけたのか、あたしは。



そうかそうか。友達が少ないから、分からなかったよ。





……今日の発見を次に生かせる機会はないかもしれないけど、最後に知れてよかったなあ。



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