魔法ノ花Ⅷ

no title /タクラと死神の遣いたち




* * *




Side.H





「星羅様はどこ?」


「さあ。大将がいねーのはいつものことでショ。いつもの単独行動でしょーね」



と、そう答えたのは椅子にだらしなく座るタクラだった。


だらしなく座る彼の目の前にはチェス盤が置かれている。




……他の人は外出したら目立つから、私が市場まで必需品の買出しに行ってきた。



あと情報の仕入れも。


帰ってきたら星羅様がいなかった。




――――この拠点には、全員が集まっている。




アリサは暇を埋めるために、刺繍を。


アイリーン様は読み物を。


ローシは建物にいた虫を捕まえて1本ずつ足を抜いて反応を見ている。


ロディスは情報誌に目を通している。


ラクティスはそんな全員の監視だ。




全員がバラバラのことをしていて、全員がリラックスしているように見える。



私はアリサの隣の椅子に座った。




アリサの刺繍はきれいだ。刺繍はアリサが視力を失ってから一番最初に叩き込まれた技術だ。


これが目が見えていないなんて誰が思うだろうか。



実際に生活していてもこの子の目が見えていないなんて思えないが、刺繍や針仕事をしているときは特にその思いが強くなる。





――――全員こんなにリラックスしているのに、空気が張り詰めていた。




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