魔法ノ花Ⅷ

しろいろ(Last battle) /未定








『――――私の力を授けよう』



その記憶は曖昧だ。



そこに立っているのは、はかなくきれいなひとだった。


少なくとも私はそう感じていた。気がする。



あれは幻覚だったのだろうか、ロアンの作り出した虚像だったのだろうか。


それとも長い刻を経て私自身が私の記憶を歪めてしまったのだろうか。




そして、記憶の中にあるあのはかない姿は、もしかしてあのひとのほんとうの姿なのだろうか。




『私の力を与えてやったならば、おまえの死後、その身体は私のものだ』



その時は言っている意味がよく分からなかった。


でも許してほしい。



あの時の私は、魔法の世界はおろか自分の周囲を取り巻く世界さえ知らなかった世間知らずのお嬢様だ。




『私は、あなたの魔法がほしい』



どうして自分がそう答えたのかも思い出せない。


その一瞬で自分のおかれた状況を理解したのだろうか。

背いたら殺されるだろうことを本能で悟っていたのだろうか。




『そうだ』




そのはかない女のひとは笑った。


顔も声も、思い出せない。






『私はおまえの身体がほしい』





その軽率な契約で私の人生は、他の人も巻き込んで、180度変わってしまったのだ。




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