宝石邸潜入調査

館ミステリーを彷彿とさせるシチュエーション 最初、綾辻行人さんかと思いました 怪しい館に個性的な住人 そして、探偵 もうミステリーの定石のようなシチュエーションでわくわくしました そしてその期待を裏切らない、正直、読者に真っ向勝負するような情報提供 その描写は丁寧で、読者がひととき探偵気分で、ページを行ったり来たりします でも、最終章になっても、トリックが全然わからない 第二の殺人の理由も、全然わからない 我慢が出来ず読み進めていくと 「なるほど」 と膝をうつ、上質な仕上げ お見事でした 贅沢を言うならば、聖さんの真っ向勝負の舞台です 第二の被害者、つばめちゃんに、殺害されるもっと意外な理由が欲しかった 実は、性格が豹変したかのような、やり取りがあったとか…… 今の理由では、悲しすぎてやりきれません でもきっと、それが現実 殺人事件の渦中には、弱くて脆い人間しかいないのです そんな中、自分の命を秤にかけた、聖さんの男気にドキリとさせられました

見事なトリックと伏線 とある一家の素行調査を頼まれた利奈が訪れた宝石 邸。 そこで会長夫人が何者かに殺害されるという事件が 起こる──。 最初から探偵である主人公の聖の登場がなくとも、 いとも簡単にストーリーに引き込まれてしまいま す。 そしてこのシリーズの要とも言える綿密なトリッ ク。これは本当に、いつも予想を越えたもので読み 応えがあります。 実現可能な範囲なのに、そうだったのか、というも の。 散りばめられたヒントをよく読みながら推理するこ とをお薦めします。 素晴らしい作品をありがとうございます。