月の女神に魅せられて SS 【完】

Our First Love? /measure 3. 憧れの男





――――……



一人暮らしを始めた一輝だけど、夕食は外食か……


「一輝様、いらっしゃいませ」


「こんばんは、栄さん」


我が家で栄さんの料理をご馳走になることも多かった。


私も作れないことはないけれど、レシピを見ながらきちんと材料をそろえて作るような料理しか習ったことがなく、とてもじゃないけれど学校から帰って一輝に作るような代物じゃなかった。


「先程、急遽奥様がお戻りになられたので、皆様でご夕食はいかがですか?」


食べてくれる人が多いとやっぱり嬉しいのかニコニコ顔の栄さんは


「今日は美咲様のお好きなビーフシチューですよ。沢山作りましたからね」


と笑った。




謎の美人さんが現れた日から一週間。


再びあの美人さんを見かけることはなかった。



積もる話を


『また大学で聞いてやる』


くらいに接することがあって


『部屋入れてよ』


『それは二人じゃなければ考えてやる』


二人きりじゃなければ部屋に上げることを厭わない相手。


小学校の同級生で


黒いストレートのロングヘアに赤いルージュ。




もしかしたら大学で会って話したりはしてるのかもしれないと思ったりはするけれど


特に変わった様子のない一輝は『初恋は過去の思い出派』なのかもしれない。


そう思えど気になってしまうのは、私が過去に『似てる』って言われたせいで、こんなにウダウダと悩むなら、あの海で聞かなきゃ良かったと今更ながらにため息をついた。

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