月の女神に魅せられて SS 【完】

Our First Love? /measure 7. 三つ巴




――――……



「で? それ持って逃げて来てどうすんのよ?」


開店前のNo.14のカウンター席。


今日、一輝のマンションで起きた一連の出来事を……一部端折りながら説明し終えたところ……


脚を組んで腕も組んだ梨佳は、顎を少し上げた女王様スタイルで、隣に座る私を見下ろしていた。


「平手の一発でも入れてくりゃ良かったじゃない」


「だって……」


右手に握り締めたハートのピアス。


一輝の寝室でそれを見つけた私は、どうして良いか分からなくて、気付けばピアスを握り締め、とりあえず衣服を身に付けて一輝の部屋を飛び出していた。


「だってじゃないの。あんたは変なとこで自分を押し殺して事態の悪化を招くタイプなんだから」


歯に衣着せない梨佳の物言いに言葉が詰まるけど、やっぱりこんな時に頼れるのが梨佳しかいなかった私は、一輝の部屋を飛び出して真っ先に梨佳に電話していた。


そしたらNo.14に居るって言うからここに来た訳だけど……


「ここに居たらソッコーで見つかるわよ?」


「分かってるけど……」


他に行き場もない。


いや、どうせ逃げるならサワムラにでも閉じこもってしまえば良いんだけど、姿を眩ませたいわけじゃなくて


「……これ、どうしよう?」


遭遇したコトのない浮気の疑惑に対して、どう接すれば良いのか誰かにアドバイスして欲しいわけで。


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