素直なカラダで堕ちる恋【完】

夢現@シティホテル


――――……



『良いんですか? 「別れよう」なんてメールして』


電話口から聞こえる由香里ちゃんの口調は苛立ちを含んでいて


『松木先輩、私のこと、ただの遊びだと思いますけど?』


「え?」


『メール見ちゃいました』


悪びれもせず言い放つ後輩に愕然とする。


「けん……松木さんは?」


『今シャワーです』



この電話の真意が分からず「そう」とだけ返答したものの、他に話すことも見当たらない。


……聞きたいことはたくさんあるはずなのに、何も聞けない。……何を聞かされるのか怖い。


「じゃあ……」


『何でこんなことになったか教えてあげましょうか?』


「え?」


何も聞きたくないと思うのに電話口の由香里ちゃんはそれを許してはくれず


『つまんないそうですよ』


知りたくなかった真実をまざまざと突きつける。


「つまんない?」


それは私と一緒にいても健くんは楽しくなかったと……そういうことなんだろうかと黙り込んだ私に彼女が更に追い討ちを掛ける。


「そうです。先輩とエッチしてもつまんないそうです。性格がどんなに合っても、ねぇ?」


そう言った彼女に対して二の句が告げなくなった。


言われた内容が衝撃的過ぎて脳内がクラッシュしそうだ。


それが……健くんが由香里ちゃんと浮気した理由……?


「体の相性が最悪だなんて、そりゃ、男と女じゃいられないですよね」


言われたことの意味が徐々に頭に浸透して一気に顔に血が上る。


それは怒りというよりは羞恥によるもので。




何で彼女がそんなことを知っているの?


健くんはそんなことを彼女に話したの?


健くんは……そんなことを思いながら私と一緒に居たの?




疑問符が駆け巡る度に自分が異常に恥ずかしくなり、由香里ちゃんに何も言い返せない。

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