素直なカラダで堕ちる恋【完】

呼び出し@社長室


――――……


翌朝、いつも通りに出勤して、パソコンを立ち上げながらビルの一階に入ってるコーヒーショップの紙袋からカフェラテを取り出す。


昨日は驚いたけど、だからと言って何をするわけでも、したいわけでも、ましてや、して欲しい訳でもなく


願わくばこのまま気付かれずにこの会社で働きたいという気持ちがほぼ胸中を占めていて、全く覚えられていなかったことに対する悔しさみたいなものがその片隅にほんの少し虫食っていた。


一夜の過ちと呼ぶにふさわしいあの夜のことは私の立ち直るきっかけになったとはいえ、そこから発展させたいなんて気持ちは微塵もない。



起動したパソコンにパスワードを入れてメーラーを立ち上げると、カフェラテを啜りながら太字に表示されている未読メールのタイトルをさらりと眺める。


読むメールの優先順位を決めようとして、ふと目に留まったのは


無題だ……


会社のやり取りであまり見かけることのない無題のメール。



差出人は……九条渉……



九条って……



一瞬誰だか分からずに


けれど、最近どこかで聞いたはずの名前は、その直後記憶の引き出しから飛び出してきた。

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