お別れを前提にお付き合いしてください。【完結】



それから、シャワーを借りた上に、服まで借りてしまった。

全体的に大きなその服は、私が着るにはぶかぶかで袖と裾が余ってしまい、引きずるように歩く。


「どうして、ここまでしてくれるんですか?」


浅羽くんは私をチラッと見て、すぐに目をそらした。


「別に。親父に、困ってる人とか怪我してる人は助けろって昔から言われてるだけ」


それって、すごい。

いくらそう言われていても、中々実行には移せるものじゃないと思う。


「素敵なお父様ですね」

「うるさい。明日は絶対に追い出すからな」

「はい」


顔は背けても、赤くなった耳が私には見えていた。


明るめの茶色い髪に、着崩した制服。

特定の彼女はいなくて、ひとり暮らし。

乱暴な言葉使いに反して、優しい気持ちを持っている。

不思議な人。


好きになったわけじゃない。


……でも。

好きになるなら、あなたがいい。

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