あなただけを愛したい【完】

Chapter10 /この手を離さない

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どれだけこうしていたんだろう。


薄暗かった空が――…もう真っ暗だ。


見上げた先は満天の星。


綺麗だな。


航と一緒に見たかった。



……やっぱり、もうダメなのかな。


溢れ出る涙を何度も拭う。


あんなに念入りにメイクしてきたのに、意味がなくなっちゃった。


ていうか、航に会えない時点で、今日の行動自体、意味のないものだったんだ。



「…うぅ……」



涙が止まらないけれど、いつまでもここでこうしているわけにはいかない。


何度も何度も深呼吸をする。


何度目の深呼吸だろう……


ようやく、流していた涙が止まった。


でもこの顔で電車に乗る勇気はないな。


タクシーに乗れるだけのお金って持っていたっけ?


その場で、バッグから財布を取り出して中を見る。

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