twilight house 3【完】

3章 /9月、前兆











「―――相変わらず美しい音色ね、都」





屋敷の一室である大広間。



約4000万円もする、由緒ある歴史を持つバイオリンを肩から降ろして、都は目の前に座る人物に笑いかけた。






「ありがとうお祖母様」






平日水曜日の午後16時。



今日は日比谷グループの前会長の夫人―――――つまり都のお祖母様が遊びに来ている、珍しい日だ。







「でもお祖母様、お屋敷にいらっしゃるなら、一言ぐらい伝えてくださっても良かったのに」


「ふふ、驚かせたかったのよ。それにしても都、あなたまた可愛くなって。若い頃の私にそっくりね」


「まあ!光栄です」







優雅に笑いながら紅茶を飲むお祖母様。




うーん。でもやっぱり一言ぐらい言って欲しかったわ。


そしたら都、もう少し難しい曲を演奏したのに。即興だったから簡単なのを弾いてしまったわ。








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