twilight house 3【完】

3章 /死ねない理由










空は変わらず、青いままだった。




ザワザワガヤガヤ、騒がしい声が聞こえてくる。

呼び込みの声、バンドのボーカルの声、楽しそうな声。





そんな声とは反対に、極くんは震えるような声で、自身の過去を話してくれた。


大切な人が死んでしまった、悲しい過去を。






「・・・・・・先生は、死んだんです」






ぽつり。

雨のように。まるで自分に言い聞かせるように呟いた極くんに、私は――――――なんて、声をかければいいんだろう。





聞いてるこっちが、悲しくなるような話。


極くんはきっと、その何十倍も悲しんでる。

今も昔も、ずっと。






「俺があの下宿所に来たのは、出来るだけ、あの学校から離れたくて。地元から離れたくて、だから高校も実家から遠い場所を選んで、あの下宿所で暮らすようになったんです」






・・・・・・そうか。

そうだったんだ。





極くんは俯きながら、静かに語る。その横顔を見つめながら、私は会ったこともない、その"間藤先生"を思い浮かべた。





きっと、本当に優しい人だったんだろう。

極くんが心を許すぐらいだ。

彼にとっては、ひだまりのような人だったんだろうな。






「、」






上手く言葉が、出てこない。




でもそうか。

そうだったんだね。





夏に極くんが、キスツスの花を優しく撫でていたのを思い出す。






白くて無垢な、あの花を。極くんはどんな気持ちで、育てていたんだろう?








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