捧げ華~濁りの君よ~【完】

捌章 断絶ノ鐘ガ鳴ル 

「―――どういうことですか?」



藤ノ宮家の門前で桜子は困惑していた。



正確には、目の前に立つ白木の言葉に困惑した。



いつも通り藤ノ宮家の門をくぐろうとした時、門前にいた白木に呼び止められたのだ。



普段と変わらない柔らかな笑みを浮かべていたが、どこか違和感を覚える。



「申し訳ございません、桜子様」


「白木さん、これはどういうことですか……?」



無理矢理押し付けられた小さな包みを手におろおろとする桜子に笑顔のまま、白木は言った。



「今後、藤ノ宮家の門をくぐることはご遠慮ください」



丁寧な物腰だが、そこには「もう来るな」という意思がはっきりと示されている。



突然のことに桜子は呆然とした。



「まことに勝手ながら、今後貴女様をお招きすることはできません」


「どうして、ですか」


「零様がご縁談をお受けになります」


「……え?」



その言葉を聞いた瞬間、かなり間抜けな声が出た。



縁談を受ける?



誰が?



……零が?



あの、女嫌いを公言していた藤ノ宮零が?



突然のことに内容を把握しきれない。



それくらい、衝撃が強かった。








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