捧げ華~濁りの君よ~【完】

拾肆章 守ルハ君、誓フハ想イ

―――ここに居ろ。もう、勝手に消えてくれるな。



そう言って、あの人は私を抱き締めてくれた。



……少し前まで、凍えた眼差しの人だった。



真冬の吹雪のような凍てつく瞳。



心の底までをも貫く、氷の視線。



それなのに、向けられる瞳はひどく悲しげで、目が合う度、胸が締め付けられた。



目を閉じれば、あの瞳も熱も腕に籠る力もすべて、鮮明に思い出すことができる。



あのぬくもりさえあれば、この先何があろうとも生きていける。



本気でそう思えるほど、彼女は幸せだった。



思い出だけで生きるにはまだ辛いけれど―――決心はついた。



零に贈られた本を眺めながら、桜子は決意を行動に移そうと立ち上がる。








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