タランチュラ 本編

第4章 /6)クリスマス



「頼まれたの…」

 しばらく黙っていたルゥがおもむろに口を開いた。

「頼まれた?」

 静かに頷く。

「あの頃、私たちに優しくしてくれた大人はあの人だけだった…。私たちのために泣いてくれたのもあの人だけだった…。

 あれは、あの人からの最初で最後のお願いだったの。だから私と彼は…」

 『あの人』とは、今は亡き前国王、そしてユサの父親であった。

 地下牢の唯一の小さな窓から柔らかい太陽の光が差し込んだ。


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