タランチュラ 本編

第4章 /8)銀髪との再会



「まさか、あの事件を引き起こしたきっかけが前国王だったなんて…」

 ルゥから前国王暗殺事件前後の話を聞き、ロスメタは驚きを隠せなかった。

「…ん、待てよ?

 その話が本当なら国王は一体誰にロスメタ様を逃がすように頼んでいたんだ?!

 僕が彼女を連れだしたのは僕の意志…。僕の他に彼女を逃がそうとした人物がいたのか?」

「それはわからない。私たちが頼まれたのは騒ぎを起こすことだけだから…」

「……」

 ロスメタは腕を組み、難しい顔をして考える素振りを見せた。

“カツカツカツ”

「「!?」」

 牢の外から足音が聞こえた。複数の足音だ。

 ルゥとロスメタは身構える。ルゥは咄嗟に白い帽子をかぶり、慣れた手つきで長い赤髪を収め、刀を構えた。ロスメタも刀を構え、足音の方を鋭く睨んだ。

 足音が2人の前で止まる。

 牢の前で黒いスーツを着た4、5人の男たちとその一歩前に同じように黒いスーツを着た1人の女が立ち止った。

 黒いスーツの女は銀髪の肩に付くかつかないか際どい長さの髪を耳にかけた。

 右目は黒い眼帯で覆われ、片目であったが、彼女の眼光はとても鋭く、迫力があった。

「「!!!?」」

 銀髪の女を見て、ルゥとロスメタは驚きを隠せず、目を見開いた。

「ほう…」

 女は2人を見て、冷たく笑った。

「これはこれは…ネズミがかかったと聞いてきてみれば、懐かしい人物だな」

「…レイン大佐」

 ロスメタが女の名を呼ぶ。

「久しいな、裏切り者」

 レイン大佐とロスメタに呼ばれた銀髪の女は、一言一言に重みのある鋭い口調でロスメタを見た。

「私の直属の部下であった貴様が裏切るとは…。私も人を見る目がなかったな」

 レインは自分の不甲斐なさに失笑した。

「しかし、貴様がここにいるということは、奴もこの街にいる…ということだな、ノヴァムよ?」

「…や、奴とは一体誰のことを言っているのでしょうか?私にはさっぱり…」

 冷や汗をかきながら、必死にごまかそうとするロスメタ。レインからの圧力は相当のものだった。

「私をごまかせると本気で思っているのか?私もなめられたものだな。

 ロスメタはどこにいる?」

 ロスメタの顔色は真っ青になっていたが、ユサのことは口に出さなかった。

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