タランチュラ 本編

第5章 /7)抜刀

「レ…レイン…」

足音の主の名を呼ぶ。メチレンの頬を冷や汗が伝う。

「これでタランチュラが揃ったわけか」

「!!?」

レインの言葉にメチレンが目を見開く。自分の正体が一瞬でバレたこともそうだが、タランチュラが揃ったとは?メチルはどこに?!

焦る気持ちを抑え、メチレンはレインから目が離せない。気を散らせば、この女は一瞬で急所を突いてくるだろう。

レインの登場に先ほどまでメチレンと交戦していた男たちはレインに向かって敬礼していた。

「…お前たちは下がっていろ」

レインがゆっくり階段を下りてくる。ホールに倒れている男たちを見て、目を細める。

「こんな子ども一人に我が隊がこのありさまとは…嘆かわしい。最強の名を持つタランチュラの力は健在…ということか」

レインは腰に下げたサーベルを抜く。

メチレンは服の袖で汗をぬぐい、大剣を構え直した。

「ルゥはどこだ!」

螺旋階段を下りてくるレインに合わせて構え、牙をむくメチレン。

「ルゥ…それはもう一人のタランチュラの小娘のことか?」

「そうだよ!もしルゥに指一本触れてみろ!お前の目ん玉、ひん剥いてぶっ殺してやる!!」

メチレンが吠える。

「もう貴様たちにやる目玉はないが…安心しろ。私はまだ小娘に指一本触れていない。地下牢に幽閉している」

レインの言葉に安堵するメチレン。

ルゥが無事であることと、そして牢屋に入っているということは捕まってしまったという不安はあるものの、親の仇であるレインに対して、メチレンより強い憎悪の感情を持っているルゥが自分の意志でここに来るのは困難であるに安堵した。

「もうメチルに人殺しはさせない。あんな悲しい姿は見たくない!」

歯車時代、レインに対して憎悪の感情が爆発したルゥが理性を失い、獣のように殺意を向けた姿を思い出した。ルゥにはつらいことかもしれないが、親の仇のことは忘れて、今を笑顔でいっぱい生きてほしい。

「ルゥの笑顔のために、お前は俺が今、ここで殺す!」

メチレンはいつも鞘に納めていた大剣を抜いた。青白く光る刃が姿を現した。

「たとえ相打ちになったとしても…らぁあああああああああああああ!!」

メチレンが大剣を振りかぶった。

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