タランチュラ 本編

第6章 /4)最後までコント

「レインなら帰ったよー」

「「「えっ」」」

チェシルの言葉にメチレン、ルゥ、ロスメタの声がハモる。

「だからー帰ったって」

チェシルが帰る支度を始めた。

「レインの部下たちの治療にあらかじめ私たち呼ばれてたのよー」

「なになに?どういうこと?!」

「知らないわよ、あんな女の考えることなんて。そもそもあいつ、今、長期休暇中よ」

「長期休暇!?なにそれ!」

チェシルの言葉にメチレンが食いつく。

「長期休暇…労働者に認められる権利」

マリーテルが解説する。

「いや、そういうことじゃなくて…え?なんでこんなとこにいたの?何しに来たの?意味わかんない!」

混乱するメチレン。

そして古城の外に走って辺りを見回す。

「いない…」

外にはレインどころか、レインの部下いない。もぬけの殻だ。

狐につままれた気分だ。

「じゃ。私たちやることやったし帰るから」

「じゃ」

帰ろうとするチェシルとマリーテルをメチレンが呼び止める。

「え、あんたら今はどこに属してるの?どこに帰るの?」

「やーん!それは個人情報だからヒ・ミ・ツ!」

チェシルが顔の前に人差し指を立てる。 

マリーテルはルゥに優しくハグをした。

少し照れ恥ずかしそうにルゥがお礼を言う。

「マリー色々ありがとう。チェシルもね」

マリーテルがルゥから離れると、ルゥの両頬をつねった。

「へ、ひたい!何すんの、マヒー」

痛みより驚きが勝る。

「あんなクズにお礼はいらない」

「ちょっ!どういう意味よ!」

「今に始まったやりとりじゃないじゃん」

チェシルがプンプン怒るのをメチレンがなだめる。

「でもありがとう、助かった!二度と会いたくないけどな!」

注射の恨みもあり、メチレンも皮肉を言う。でも、本気でもある。過去のくらい思い出から抜け出すためには、やっぱり会いたくない。

「お互いにね!」

チェシルがあっかんべーと舌を出す。

「じゃあね」

そういうとマリーテルは一枚の紙切れを広げた。中には魔法陣が描かれていて、床に置くと紙に書かれた魔法陣が光を帯びた。マリーテルがその上に乗る。

「移動用魔法陣…?」

「そう」

「じゃあねー!」

チェシルもその上に乗ろうとするが、狭いとマリーテルが下ろそうと喧嘩をし、揉み合いながら一陣の光となって消えた。

二人が消えたあと、一枚の紙切れだけが残った。

「真っ白になってる…」

「使い捨て用の移動用魔法陣だね。どこに行ったのか分からなくしてる」

「レインに呼ばれて来たって言ってたから、まだ繋がってるのかな?」

「うーん、たぶん」

「そういえばレインはどこ行っちゃったのかな?いなくなったのは嬉しいけど、なに考えてるのかわかんないのは怖いよー」

「うん…」

スッキリしない気分のままメチレン、ルゥ、ロスメタは宿に戻った。

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