タランチュラ 本編

第2章 /4)別れと再会


 朝。
 今日も一日快晴であろう。南南西の風。風力は1と言ったところだろうか。
 雀の無邪気な鳴き声に窓から差し込む明るい光。

「…眠っ」

 無理矢理叩き起こされ、まだ開ききっていない目でどこか遠くを見ながらボサボサの短い金髪を無意識に掻く。
 それは寝巻き姿のメチレンであった。
 相方のメチルはきちんと着替えを済まし、いつもの紺のジーンズにTシャツ。
 ポケットのたくさん付いたジャケット姿だった。頭には白い大きなベレー帽をかぶっている。

「ほら、ちゃんと起きろ!」

 ルゥは、まだ夢の世界に片足を突っ込んでいる相方に怒鳴りながら服を投げた。
 どうやらどこかに出かけるつもりのようだ。

「着替えたら顔を洗う!」

 投げられた服を頭から無造作にかぶったまま動かないメチレンに、さらに愛用の歯磨きセットを投げつけるルゥ。

”ガンッ!!”

 アゴ辺りにヒットしたようで、メチレンはそのまま後ろに倒れた。

「…Zzz」

 何の反応もなくそのままメチレンの寝息が聞こえてきた。

「こんの~…」

 1人慌しく準備している自分がバカらしく思えてきたルゥは、昨日ユサにキレイと褒められた白い手を強く握りこぶしにし、震わせながらメチレンに近寄った。
 そして、振りかぶった瞬間、ドアのノック音が聞こえた。

”コンコンコンっ”

 規則正しい上品なノック音だった。

「メチレーン、ルゥー、起きてる?」

 それはユサの声だった。
 ルゥは間延び口調で返事をすると、ドアからの死角にメチレンと散らかった荷物をを蹴り飛ばし、ドアをゆっくり開けた。
 扉の向こうにはユサとロスメタの姿があった。

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