タランチュラ 本編

第2章 /5)旅立ち



「ロスメタぁ~」

 ユサが疲れたような声で呼ぶ。

「なんだい?」

 いつも通りの大げさなポーズを決めて返事をするロスメタ。

「…もしかして、道に迷ってない?」

 一瞬の沈黙。
 カラスの人をおちょくったような鳴き声がこだまして聞こえた。もう空は赤かった。

「………そんなことはぁ、なぁ~い!!」

「え?な、何?今の間は?もしかして本当に迷ってる?」

「いや、そんなはずはない!!僕の調べた情報によるとこの先にあるはずさ!!」

 ロスメタは自信満々で白い歯を見せてさわやかに笑った。
 しかし、ユサは半分以上諦めていた。

「…今日は野宿を考えた方がいいわね」

 辺りを見ると、宿どころか民家さえなかった。

「おや、ユサはこの僕の情報を信じてないね?」

「だってロスメタ、その情報、何にも私に教えてくれてないんだもん」

「おや?教えてなかったかい?聞かれなかったものだからもう話した気でいたよ。あっはっは」

 気品を保ったまま大声をあげ、それに相当する豪快な動作をつけて笑うロスメタ。
 そして、キリッと表情をマジメに変えたかと思うと、その情報についてユサに説明し始めた。

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