タランチュラ 本編

第3章 /2)情報屋



 大きな太陽はほとんど沈み、空は薄暗くなっていた。
 2人の男女が街外れの小洒落た民家の前で話し合っている。

「もう暗くなっちゃったね?」

 女の方の20歳前後の旅人・ユサが同盟を組んだ相方に尋ねた。

「そうだね、今がちょうど19時、夕食時だね。こんな時間に客が訪ねてきたら迷惑だろうね」

「今日は諦めて、明日出直しましょうよ?」

 ユサと同盟を組んだ長髪長身の男・ロスメタが悩むような素振りを見せる。
 彼らは探し求めている有力な情報を持っているかもしれない情報屋の家を朝から探していたのだが、街外れであること、土地に不慣れなこと、情報が曖昧なことなどから、見つけるまでに時間がかかった。

「ここまで来て、何も成果を得ずに宿に戻るということかい?」

「そうね。お家がわかったんだから、明日は朝から出発すればお昼には来れるわね」

 ユサが引き返そうとすると、ロスメタは大げさなリアクションで嘆いた。

「今から引き返せば、宿に着くのは夜中!
 しかも、今日は宿に宿泊予約していないから、宿に戻ったところで宿が取れるかどうかもわからない!
 宿が取れなければ野宿!!」

「そうなるわね」

 2、3日前からロスメタと行動を共にしているユサは、もともとロスメタの過剰リアクション、訴えに動じていなかったが、さらに冷静に対応できるようになった。

「何たる悲劇!この僕が何も成果を得られず、こんな家畜臭い庭の隅で野宿するなんてっ!
 …考えられない!!」

“ピンポーン”

「あっ?!ロスメタ、何やっているの?!」

「おや?僕としたことが、つい、うっかり、偶然、たまたまチャイムを押してしまったよ、あっはっは」

 明らかにわざとチャイムを鳴らしたロスメタに、ユサは呆れて何も言えなかった。

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