タランチュラ 本編

第3章 /5)再会



「お金、たくさんかかっちゃったけど、タランチュラの居場所はわからなかったね」

 ユサがロスメタを見上げた。しかし、ロスメタから返事がない。

「どうしたの?」

「…いや、ちょっと考え事をしていただけさ」

「考え事?」

「はっはっは、たまには悩んでいる僕も魅力的だろ?」

「…微妙かな?」

 心配して損したと思いながら、ユサは苦笑した。

「おや、前方から…人だ」

「あら、本当」

 前を見ると2人の男女がこちらに向かって歩いてくる。
 背の高い金髪の男が声をかけてきた。

「突然失礼。この辺りにエーテルという女性が住んでいる家があると思うのですが、ご存じありませんか?」

 紳士的な口調の男は、黒いスーツに赤いネクタイ、黒い帽子を深くかぶっていた。 帽子からは似合わないうさ耳が出ている。

「この先にありますよ」

 親切心から素直にユサは指をさして、エーテルの家の方角を示す。

「ありがとう。それでは、失礼」

 男はうさ耳付きの帽子を少し持ち上げ、お礼を言う。その時、ちらっと見えた彼の赤眼は口調や態度とはかけ離れた冷たい目をしていた。
 男の後ろには、隠れるようにいた小柄な女がこちらをのぞいていた。シースルーの露出度の高い格好で、太ももには2丁の拳銃がホルスターに収まっている。
 女はなにもしゃべらず、ユサとロスメタの横を通り過ぎると男の横に並んでそのまま2人はエーテルの家の方に向かっていった。

 しばらく彼らの背中を見つめたユサとロスメタは同じことを考えていた。

「「なんて似合わない帽子なんだろう…」」

 と。



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