タランチュラ 本編

「まぁ、期待はしてなかったけどね。まだ水には少し余裕があるから、後で汲みに行こう。
 とりあえず、その汚れた手をこれで拭いて」

「ありがとう!!」
『コゲっ!!』

 ルゥはメチレンにウサギの形をしたファンシーなお手拭き入れ渡した。

「ピヨ子はいらないだろ?」
『コゲっ?!』

 ピヨ子は不思議そうに自分の体を見回す。その時初めて自分が羽毛100%に気づいたかの様な驚きの顔をした。

 その後、ルゥは小皿に少しずつおかずを分けた。メチレンは使ったお手拭きをルゥに渡そうとしたが、自分の食事をよそってくれている相棒の邪魔をすると、その分食事にありつける時間が遅くなると思い、自分で荷物の中に片付けた。

「はい。適当に盛ったけど、おかわりは自分でどうぞ」

「はぁーい」
『コゲ』

 こうして2人と1匹の食事は始めようとしていた。

「「いっただっきまぁーす!」」
『コゲっ』

 それは2人が箸を持ち、小皿に手を付けようとした時だった。

”ガサガサガサっ”

 茂みから音がした。
 ピヨ子は気にせず規則正しいリズムでクチバシで小皿をつついている。

「…今度はウサギがいいな」

「僕はいらないよ」

 2人は意識を茂みに向けながらも、食事を続けた。
 そして突然、茂みから何かがメチレンに向けて飛び出してきた。
 厳密には突っ込んできたという表現の方が正しいのかもしれない。

「んっ?」

”ガシッ”

 それを箸とは反対の手で掴んだ。早業だった。

「何、これ?」

 メチレンは口と箸を動かしながら掴んだものを見た。

「鳥肉?」

『ユサぁーーーーーっ?!』

 それは突然叫んだ。羽をバタバタさせて暴れるが、メチレンの手から逃れることができない。

「オウムかな?」

 ルゥも口を動かしながら凝視する。

「オウムとニワトリ、どっちが賢いの?」

「さぁ。オウムじゃない?」

「ふ~ん…。じゃぁピヨ子やめて、今度はコレ飼ってみようか?」

 メチレンが笑顔で言う。
 コレを聞き、さっきまでご飯に夢中だったピヨ子の様子が一変した。

『コゲェェェェェェっっっ?!』

 羽をバタつかせながらその辺をあわただしく走っている。

「ピヨ子も賛成?」

『コゲェェーーーーーっ?!!!!!』

「わぁ!ピヨ子も喜んでるー」

 メチレンははしゃいだ。

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