タランチュラ 本編

「あなたたちねぇ…もう少し一般市民のことを考えて行動しなさいよ。昔じゃないんだから」

 ため息交じりに注意をするエーテルにリンは不機嫌な顔をする。

「複数形で言うな。私は無関係だ」

 一方、ニッカルは反省した様子はなく、似合わないうさ耳が付いた帽子を脱ぎ、人差指でクルクル回す。
 帽子を脱ぐと、ボサボサの金髪が現れた。

「あれは、『稼ぎ』としてやったんじゃない」

「どういうこと?」

「ラビットの復讐~」

「は?」

 ニッカルに言っている意味が分からなかったエーテルに、ニッカルが驚く。

「え、レニウム知らないの?この街、『隠密』が入ってるよ」

「な?!」

 部屋の空気が緊迫する。

「あんなあからさまに怪しい格好してるのに、知らないの?」

「情報屋失格」

 ラビット2人が呆れて同時にため息をつく。

「『隠密』は、解散したんじゃないの?!」

「そうらしいけど、この街で見かけたよ」

「もしかして…」

 エーテルは慌てて本がびっしり詰まった書棚から1冊のファイルを取り出した。そして、その中の1枚の紙切れを2人に見せた。それは、メチレンとルゥが来たときに描いていった下手な「怪しい奴」の似顔絵だった。

「すごい絵だね。でも、たぶんそうだよ」

 エーテルの顔が青ざめる。

「何をしにこの街に来たのよ?!」

「俺たちが知るわけないよ。
 でも、あの女もこの街にいたから、この街でこれから何か起こるはずだ。
 レニウムがこの街にいるって聞いてたから、挨拶ついでにそれを伝えにきたんだ」

“バン!!”

「な、なんですって?!」

 エーテルがテーブルを叩いて立ち上がる。

「俺たちをどうこうするって感じじゃなかったから、気にしなくていいんじゃない?
 ま、俺たちのこと知っている奴もいたから、目障りだし、軽く20人くらいふっ飛ばしといたけど」

 ニッカルとリンは取り乱すエーテルを気にも留めず、紅茶をすすった。

「レニウム、顔色が悪い」

「大丈夫だよ。奴ら、西を活動拠点にしてるみたいだから、こことは真逆だし」

 エーテルの顔色がどんどん悪くなる。

「今はダメなの!」

「???」

 ラビットは首をかしげる。

「今、この街には…タランチュラも来てるのよ!!」



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