タランチュラ 本編

第3章 /7)寄り道



 ルゥはそろそろ無くなりかけていた絆創膏と相方のチョコレートを無事購入した。 メチレンが来ていれば、色気はないので、巧みな口頭術…というか、勢いでもっと安く購入することができたかもしれないが、必要のないものまで買うはめになり、無駄使いしてしまうことが目に見えていたので留守番させた。
 そのおかげで、買い物は早く済んだ。

 日暮れまではまだ時間があったので、街をゆっくり散歩することにした。
 街は夕食の買い物に来た主婦でにぎわっていた。

「そういえば、ここから西は何があるんだろう?」

 ルゥが現在いる場所は街の中心地で、店がたくさん並び、住宅も多く、大変にぎやかなところであった。東に行けば、小高い丘があり、エーテルの家があった。西は、東とは雰囲気が違い、殺風景であった。

「少し歩いてみようかな」

 いつもうるさいメチレンと一緒にいるため、たまには1人でのんびり散歩をしたくなることもある。
 手頃な大きさの小石を見つけたルゥは、小石を蹴りながら西に向かって進んだ。空を見ると、いつの間にか赤く染まっており、気が付くと宿からも、街からも離れたところにいた。

「あ、晩御飯…」

 自分のお腹が減っていないため時間が経つのを忘れていたが、大食いの相方のことを思い出し、慌てた。

 「晩御飯はなしでいい?」なんてことを聞いた日には、発狂するに違いない。

「あ、でも今晩は宿だからご飯出るから大丈夫だ」

 宿に宿泊することを思い出したルゥは、近所迷惑を免れたことに安堵した。

「でも早く帰らないと、そろそろレンがお腹すいたって暴れちゃうかもしれないからな」

 元来た道を戻ろうとしたルゥの目に、逆光でよく見えないが、ポツンとそびえ立つ建物が映った。

「なんだろう、古城かな?」

 夕日をバックに燃えているように見えるその建物にルゥは興味を持った。

「少しくらい…いいよね?」

 自分に問いかけ、自分に行き聞かし、ルゥはその建物に足早で向かった。


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