タランチュラ 本編

第4章 /4)真相



「僕の本当の名前はノヴァム。そして、ユサの本当の名前がロスメタ…ロスメタ王女だよ」

「王女?!」

「そう…、彼女は前国王の唯一の後継者だった人だよ。君は知らないのかい?」

 ルゥはうなづく。

「少し、昔話をするよ」

 ノヴァムと名乗るロスメタは、静かに語り始めた。

「前国王には、4人の息子と末っ子に1人の娘…つまりロスメタ王女がいたんだ。
 しかし、4人の息子は13歳になるまでに全員謎の病で亡くなった。
 前国王は『隠密部隊』の仕業と分かっていたにも関わらず、当時…国王より強い権力をもつ『隠密部隊』をどうすることもできなかった。

 息子たちが亡くなったあと、ロスメタ様は生まれた。前国王はロスメタ様が息子たちのように殺されるのを恐れ、世間に彼女の誕生を知らせなかった。

 そのため、彼女は城の限られた場所だけで生活し、彼女の存在を知る者は、前国王と『隠密部隊』の一部の人間のみだった」

「……」

 ルゥは黙ってロスメタの話を聞いていた。

「しかし、彼女が15歳のとき…今から4年前のことだ。ロスメタ王女の父・前国王が暗殺された。それを行ったのは『隠密部隊』だ」

「……」

「その理由は、前国王時代の王政に国民の不満が強く、王政継続が危ぶまれたから。

 今も昔も、国王は飾りなんだ。すべての政を取り仕切っているのは『隠密部隊』なのに…。

 そして、本来なら王位を継承するのは彼女のはずだが、世間的にはロスメタ王女は存在していない。だから、『隠密部隊』は彼女より王位の低い彼女の叔父を自分たちの都合のよい駒として育て、新たな王に仕立てた。

 しかし、新たな王を立てたのはいいが、ロスメタ様の存在はいつか邪魔になるかもしれないと考えた奴らは、ロスメタ様を殺そうとした」

 ロスメタは悔しそうな顔をした。

「僕は彼女の監視役として差し向けられた『隠密部隊』の者だった。任務はその名の通り、彼女の監視。

 僕が監視役として勤め始めたのは、彼女が6歳のときからだ。監視役として彼女の自由を制限していた。僕は自由のない彼女から恨まれても仕方がないのに、彼女はいつも笑顔で僕に接してくれた。

 そして約10年間、彼女の傍にいた僕は、監視役というよりも親と似た感情を持つようになっていた。
 この娘は僕が守っていこう…そう思った」

0
  • しおりをはさむ
  • 9
  • 0
/ 151ページ
このページを編集する