タランチュラ番外編 ラビット物語

第三章 /誘惑



「…まだ眠い」

ゴソゴソ。布団の中に侵入者。
布団の中でメチレンは寝返りを打つと人肌温かさを感じる。メチルがピヨ子の散歩から帰ってきて、二度寝するために布団に潜り込んできたのかな?なーんてことをぼんやり思いながら、抱きつく。

むにゅん

柔らかい。こんな感触メチルにあったっけ?とまだ十分に起きていない
頭で考える。

ほっぺた?おしり?メチレンはうっすら目を開けた。

「わぁぁぁぁああああああああ!!」

メチレンは隣にいた女の正体に気づくとすぐさま飛び起き、ダダダダダっと壁際まで後退った。
むくり。女がうるさそうに耳を抑え、上体を起こす。

「どうしてお前がここにいるんだよっ、リンっ!」

メチレンは偽メチルにむかって叫んだ。

「ふ、服はどうしたっ!」

メチレンの布団に潜り込んでいたリンは上半身裸だった。もともと裸に近いような衣装だったが、形のよいふっくらした胸は丸出しだ。

床を指差すリン。そこには脱ぎ捨てられた衣服が転がっていた。

「そ、そういうことじゃないよ!服、着ろぉぉおおおっ!」

メチレンは心の底から願うように叫んだ。直視できず、目のやり場に困って両手で顔を隠す。

「…嫌だ」

ピトッ

リンはメチレンには抱きついた。

「だぁぁあああっ!くっつくなぁっ!」

メチレンはリンを慌てて引き剥がす。

「ルぅに見られたらどうすんのっ!!」

ニヤリ。

「何笑ってんのっ!誤解されるから早く服着てよー」

メチレンはリンの服を拾い上げ、無理やり渡そうとするが受け取ってもらえない。

「なんで受け取らないのーっ!もうヤダぁああーっ!」

逆セクハラに悲鳴をあげるメチレン。昨日、メチルがリンに焼きもちをやいていたのに、これじゃあ言い逃れのできない状況だ。リンの考えがわかる。わかるが、なぜそれを実行できるか意味がわからない。

「リンが好きなのはマグだろぉっ!俺を巻き込むなぁっ!」

涙の叫びは虚しく、リンはメチレンに抱きついた。

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