タランチュラ タラレッドその後

第一章 /誘惑


薄暗い汚れた狭い部屋。
木製の今にも壊れそうな古い椅子にブロモはドカッと足を組んで座る。背もたれに体重をかけることでギィギイ鳴いている。
捕らえられているとは思えない偉そうな格好。

背後には見張りで長い棍棒を持った若い兵士が二人立っている。兵士たちはこんな横柄な囚人を見たことがなく、やや戸惑いながらも毅然とした態度で見張っていた。
レインの到着を待つ三人だが、なかなかレインが来ない。もともと短期なブロモは苛立ちを募らせ、貧乏ゆすりを始める。そして、舌打ちを打つ。

「ちっ!どんだけ待たせるのよ」

不機嫌を全身で表すその姿に一人の兵士が苛立つ。

「私語を慎めっ」

見下してくる兵士にブロモが腕を組んで睨み付けた。青い大きな瞳が見てくる。整った顔立ちに美しい金髪。上からだと、ワンピースの胸元から胸の谷間がよく見える。ゴクリと兵士が喉を鳴らす。
その様子を見逃すブロモではない。ニタリと笑う。

「よっ…と」

ブロモは身軽な動きで立ち上がる。

「す、座れ!」

兵士がブロモの動きを制止しようと左右から伸びてきた棍棒がブロモの前で交差する。それを人差し指で撫でるように交差した部分に触れ、潜り抜ける。あまりに優雅な動きに思わず見とれてしまう。

ブロモは爪先から踵に、爪先から踵に、ゆっくり足を接地させながら部屋を歩き回る。兵士たちは棍棒を構え、ブロモに狙いを定め、動きを追う。
決して速い動きではないのだが、攻撃を仕掛けられない緊張感。

「もういちど言う!座りなさいっ!」

もう一人の兵士が怒鳴る。
ブロモはテテテッと少しテンポを上げて怒鳴った兵士の懐に入り込む。狭い部屋の出来事で、一瞬のことのようだった。

兵士が慌てて二歩下がり、棍棒の先をブロモに向けた。ブワッと汗が出る。
もう一人の兵士もブロモに狙いを定めているが、プロモは微笑むだけで焦らない。むしろ焦っているのは、丸腰の女相手に何も手が出せない兵士たちだ。

ガシッ

ブロモは正面の兵士の棍棒を掴んだ。

「!??」

兵士が棍棒を動かそうとするが、押しても引いても動かせない。もう一人の兵士は状況を理解できない。なぜ、棍棒を動かさないのかとむしろ疑問に思ったほどだ。

「ねえ、私を逃がしてくれない?」

ブロモが片手で棍棒を握りしめたまま、兵士に上目使いで尋ねる。
さっきまでの横柄な態度とは結び付かないか弱い女を演じる。ただし、棍棒は握りしめたままだ。

目にはうるっと涙を浮かべ、ピンク色のぷくっとした唇、赤く染めた頬がおねだりしてくる。胸の谷間を強調し、兵士にあえてよく見えるように空いた手で胸元を無理やり押し広げる。

「逃がしてくれたら…お姉さんがいいこと、教えてあ・げ・るっ」

くるっと棍棒に沿って回りながら兵士に近づいた。
ピトッと兵士の胸元に抱きつくと、モジモジと恥ずかしそうな素振りで兵士の制服の縫い目やボタンを人差し指でなぞり始めた。
兵士の背筋がピンっと伸び、硬直する。

「怖くないのよぉ~さわってみたいでしょ?」

ブロモは自然な流れで兵士の左手を自分の胸に押し当てた。

「!!?」

兵士はブロモの行為にも、胸の柔らかさにも驚く。
端から見ている兵士は止めなければならないとわかっていながらも、羨ましさと色っぽさについ見とれてしまう。

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