腹黒お嬢様と天才ハッカー㊦【完】

エピローグ

ひらひらと舞う薄桃色の小さな花弁


柔らかな陽射しとぽかぽかと暖かい風が、その花弁を飛ばす




花弁は1つではなく、数十枚もあって。

まるで紙吹雪のように私の視界に入り込んだ



小鳥のさえずりや、風が木の葉っぱを揺らすざわざわ...という音が、私の耳をくすぐり、


芳しい花の香りが、私の鼻を優しく刺激した





色とりどりの草花が咲いている花壇を見て私は目を細め、
目の前に立っている桜の木を見上げた



もうすぐ満開。



小さなピンクの花がたくさん咲いて、1つの大きい美を作り上げている。

そして風と共に散る桜の花弁は、ひらひらとピンクの雨のように降ってきて。



桜のピンクに混じって、たんぽぽの種も舞っていて。



ふわふわとした種と、薄い小さな花弁。




私は鍔の広い白い帽子を被ったまま、
柔らかな笑みをその唇に浮かべた






────季節はもう春







志貴と結婚してからゆうに半年は経った頃だ。





志貴と結ばれ、そして私と志貴の希望であまり大きくない結婚式をあげた後、
志貴は私の夫となり、私は彼の妻になった



そしてそれからこの半年間、志貴は父やその他のプログラマーに、
ハッカーとしての知識や技術を熱心に教えていた

聞けば「早く終わらせたいから」とのこと。





それでも志貴が彼らに教えているところを見ると、つい私も混ざろうかな、なんて思ってしまう



だが私も志貴と同じくらい忙しかった。




跡継ぎとして、父からプログラマーとしての大事なことを学び、
会社を支えていく上で大切なこと、そしてそのための力を教えてもらった。


父も志貴から教わったり私を教えたりでふらふらだったはず。



だが目の下に隈を作っても私に分かりやすく教えてくれる父は、さすが社長だと思った






そして今、春なわけですが。



ばたばたも少しおさまって、やっと落ち着いてきたところ。











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