私はまた飛び降りる【完】

1月 /梓










─────なぜこんなことになったのだろう。




「頬っぺた、見事に腫れてる……ごめんね?」



申し訳なさそうにそう言って、私の頬を水で濡らしたハンカチで冷やしてくれているのは、山吹誘の彼女さん。

白いセーラー服がとてもよく似合っている、小柄な美少女さんのローズ色のハンカチは、ほんのり甘い香りがした。

赤く腫れた頬に感じるひんやりとしたハンカチがとても気持ちいい。が、




「あの……えっと……」

「なに?」

「な、なんで……私を……ここに連れてきたんです、か」





私は不安げな目で、今自分がいる場所をゆっくりと見回した。

白と桃のパステルカラーに包まれた可愛らしい空間に、鼻孔に届く優しく甘い香り。

生クリームの控えめな香りからカカオの香ばしい香りまで。



そして


「ご注文の、チョコロールケーキと、チーズタルトになりますー」


私達のテーブルにお洒落なお皿に乗ったケーキを置いてくれたウエイトレスさん。


ああ、本当に。



……なんでこんなことなったのだろう。

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