私はまた飛び降りる【完】

前世 /冬季








「────どうですか?初めて食べるオムレツライスは」

「……美味しい、です」







サラサラな黒髪に、涼しげな目元の男性が、私の答えに微笑む。

本当に……彼はそっくりだ。

葵さんと瓜二つな双子の弟、冬季さんを見て私はそう思った。



初めて入った飲食店で、私は目の前にいる新たな縁談相手を観察する。

顔つきも雰囲気も、違うところを探せと言われたら困惑してしまうほど、葵さんと同じ。

唯一の違いは、声。そして、服装。

常に和服姿だった葵さんと違い、彼は流行りのモダンな格好。

山高帽子にロイドメガネ、少し大きいセーラーパンツとステッキ。

そして私は、いつもと同じ着物姿。

けれどこのレストランでは、私以外のお客さんは皆洋装だった。



少し居心地悪くて身を縮めれば、冬季さんはそれに気付いて優しく言う。


「それじゃそろそろ出ましょうか?僕、行きたい場所があるので」

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